『なぜ日本人は英語が苦手なの?』

『日本人は英語ができない』
聞き飽きたセリフですよね。確かに英語が苦手な日本人は多いです。
個人的にはそれ自体は問題ではないと思います。英語ができなくても十分生きていけますから。自分が必要性を感じていないのに、周りが英語英語言ってるからといってそれに惑わされる必要はないと思います。

問題は「英語ができるようになりたい」と思い続けているのに上手くならない人が多いことです。それも1年や2年悩んだり勉強したりして結果がでていないのではなくて、10年も20年も「英語できたらな」と思い続けてなかなか上達しない人が沢山います。ビジネスで考えればわかりやすいですが、少ない投資で大きな利益をだすのが一番良くて、大きな投資をして小さな結果しか出ないのはだめですよね。時間やお金をかけているのに(投資)その割に結果が小さいのです。

また、日本人はただ単に英語ができないだけではなくて、英語に対する関心が非常に強いと思います。テレビCMや街の看板、電車の吊り広告や雑誌や新聞も英会話スクールや英語教材の広告で溢れ、英語学習に関する記事もあちこちで目にします。本屋さんの英語学習コーナーでは数えきれないほど多くの本が並び、たくさんの人が集まって本を選んでいます。

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ここまで英語に対して関心が強いのになぜ他の国の人に比べて英語ができないのかという理由について巷ではいろいろな説が言われています。

一番良く耳にするのは、『学校の英語教育が悪い』というのと、『他の英語圏以外の国の人は英語がそんなに得意じゃなくても堂々としゃべっている。日本人のシャイで完ぺき主義な性格がいけないのだ』という説ですね。
『学校の英語教育が悪かった』説は特に今の40代以上の方がよくおっしゃっている気がしますね。今20代の私でさえも中学校や高校時代の英語の時間を思い返してみると、「あの教え方はおかしかったんじゃないか」と思うこともあるので昔はもっとおかしなこともあったんだろうと思いますし、よく言われるように、読み書きが中心すぎて使える英語が学べなかったという意見もまあ確かにそうかなと思わなくもありません。子供時代に差がついているというわけですね。ただ、確かに一番知識を吸収しやすい子供時代に理想的な教育を受けられなかったのはハンデになるとは思いますが、大人になってから時間やお金をかけてもその投資に見合う結果がでていないのはやはり問題だと思います。

『日本人がシャイで完ぺき主義だから話せない』説も、まあそれも原因の一つではあると思いますが、日本人全員がそんな性格ではないですよね。あっけらかんとして考えるより先に口が出ちゃうような性格の日本人もたくさんいますが彼らが特別英語が上手な印象はありません。

じゃあ何が原因なんだというと、私は二つ大きな原因があると思っているのですが、まず一番の原因は

英語と日本語が言語として違いすぎる 

からだと思います。誰のせいでもありません。根本的に成り立ちからなにから全く違う、かけ離れた言語なのです。

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英語はインド・ヨーロッパ語族の中のゲルマン語派に属します。オランダ語やドイツ語もこのゲルマン語派です。ドイツ人やオランダ人と話したことのある人はわかると思いますが、彼らはとっても英語が上手ですよね。言語的にも文化的にも近いので、一度習得してしまえば母国語を話すのとさほど変わりなく自然に話すことができるのです。

イタリア語やフランス語、スペイン語などが属するイタリック語派も同じインド・ヨーロッパ語派です。彼らは日本人ほど必死になって英語を勉強しないのでそれほど上手な人ばかりではないですが、やろうと思えば少ない勉強時間でマスターすることができます。

その他にもロシア語やポーランド語などのスラヴ語派、ヒンディー語などのインド語派、ギリシア語派、イラン語派なども英語と同じ語族に属します。

対する日本語はというと朝鮮語くらいしか近い言語がありません。どこにも属さない独立語であるという説と、トルコ語派やモンゴル語派などと同じアルタイ語族に属するという説がありますが、いずれにしても英語とはかけ離れた言語であることに違いありません。

アメリカ政府の付属機関であるThe Foreign Service Institute (FSI) が外国語の習得に関する興味深いリストを発表しています。英語を母国語とする人が、様々な外国語をあるレベル(S-3/R-3)*まで習得するのに必要な時間数を、英語との類似性をもとにランク付けしているのです。つまり、逆に言えば様々な国の人が英語を習得するのにどれくらいの時間がかかるのかもある程度このリストと近いものになると言えます。このリストは下のリンクのページで見ることができます。(FSIのサイトではありません。)

Language Difficulty Ranking | Effective Language Learning

リストによると、最も英語に近く、575時間~600時間の勉強を要するカテゴリーⅠの言語は
アフリカーンス語
デンマーク
オランダ語
・フランス語
・イタリア語
ノルウェー
ポルトガル語
ルーマニア語 など

750時間を要するカテゴリーⅡ
・ドイツ語

900時間を要するカテゴリーⅢ
インドネシア語
・マレーシア語
スワヒリ語

1100時間を要するカテゴリーⅣ
アルメニア
ブルガリア
ビルマ
クロアチア語
ギリシャ
モンゴル語
タガログ語
タイ語
・ロシア語
ヒンディー語 など他多数(ほとんどの言語がこのカテゴリーにあてはまります)

そして日本語は最も英語と文化的にも言語的にも遠く、学習の難しいカテゴリーⅤに分類されています。必要とされる学習時間は2200時間と最も長く、さらに日本語はこのカテゴリーの中でも特に難しい(英語との相違点が多い)言語と注意書きまでされています・・・。これはあくまでも英語を母国語とする人が外国語を学ぶ場合の話なので、外国人が英語を学ぶ際も全く同じだとは言えませんが、難易度としてはかなり近い話ではないでしょうか。単純計算で日本人はイタリア人の4倍は勉強しないと同じレベルの英語力は習得できないことになりますね。ちなみに中学・高校の授業時間数だけでは2200時間に全く足りていないのですが、この2200時間というのは実際に“勉強した”時間なので、授業中にぼーっとしていた人はその時間はカウントされませんよ。笑

 

そしてこれに関連してもう一つの日本人が英語ができない理由として私が感じているのは、日本人は

考えすぎの練習不足

じゃないかと思うのです。

長くなったので別記事に続きます。

 

 

*S-3 http://www.govtilr.org/skills/ILRscale2.htm        R-3 http://www.govtilr.org/skills/ILRscale4.htm

 

 

続きです。

y-uki.hatenablog.com